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2012年9月26日
9月16日から、ほぼ全面的に作品を入れ替えた新しい展示をしています。
第1展示室では、坂村真民の詩墨作品を約40点展示しています。これまでほとんど公開されていない貴重な作品もあり、見応えのある展示となっています。
第2展示室では、「三瓶時代の坂村真民~『六魚庵天国』の世界~」というテーマで、六魚庵天国の詩を中心として、より深く坂村真民を理解していただけるよう、パネルによる解説、当時の写真、詩集の写し等を展示しています。
詳しくは、当ホームページの「常設・企画展」の項目をご覧ください。
なお、今回の企画展で展示している真民詩のほとんどは、「活字パネル」となっています。
これは、真民が詩墨作品として書き残したものが無いからです。真民は、自分の詩を書として書き残すことはしておりません。それは、書家ではないからです。真民は詩人であり、詩集を残すことが本来の仕事であり、書として、詩墨作品を残しているのは、例外的に、詩の読者から頼まれて書いたものだけなのです。したがって、読者が好む作品が中心となっております。今回の六魚庵天国に掲載されている詩は、家族の日常の生活や家族の愛情を詠った詩がほとんどであり、読者が詩墨作品として家に飾ったりする内容の詩とは、やや異なった趣の詩であり、読者から書として頼まれることがなかった詩が中心です。
しかし、私は、この詩を是非皆さんに読んでもらいたい、こんな素晴らしい詩があることを知ってもらいたい、という気持ちで今回の企画展を考えました。
普段あまり知られることのない、「六魚庵天国」の時代の、やさしく明るい三瓶の人々との交流を通して、貧しいながらも精一杯生きようとした、坂村真民の生き様とそこから生まれてきた詩の数々を、是非とも記念館に来ていただいて、読んでもらいたいと思います。
2012年8月15日
皆さんお元気ですか。
お盆休みに県外から帰省されたお客様がたくさん来られてます。
今日は、先日来館していただいた、前衆議院議員小野晋也氏から手紙が届きましたのでご紹介したいと思います。
小野先生は、2009年に54歳の若さで国会議員を引退され、地元新居浜市に戻られ、在野の政治家として、新しい時代の国家ビジョンを発信されるとともに、後進の育成にも力を注いでおられる、私の尊敬する人物の一人です。
その手紙の中に、今秋発行される雑誌の原稿が入っており、その中で坂村真民について触れられている部分があり、とても素晴らしい文章なのでご紹介します。
~「自分の花を咲かせる」ということ~
今年の三月十一日、この日が何の日だったかと尋ねれば、多くの方々が、昨年の東日本大震災からちょうど一年を迎えた日とお答えになられると思います。(中略)
ちょうどこの大震災一周年にあたる日に、愛媛県で産声を上げた記念館がありました。それは、仏教詩人として広く知られた坂村真民さんの自筆の詩を数多く展示し、その人生を顕彰している「坂村真民記念館」です。真民さんの詩が、被災地の方々を勇気づけているという話に、ならば震災一周年のこの日に記念館を開館し、真民さんの祈りや願いを被災者の皆さんへの強いメッセージとして送り届けようとしたのだということでした。私は、開館後二ヶ月余を経た五月になって初めて、この記念館を訪問したのですが、その時には、既に来館者が一万人を突破していました。日本の各地に、真民さんのファンが数多くおられるということでしょう。
真民さんの詩は、技巧を凝らしたものではなくて、心の中に生まれる天地と響き合う思いを、率直に飾らずに表現しているものです。それだけに、多くの人の心に素直に響くものを持っているのだと思います。
私の大好きな詩も数多くあるのですが、その中で、特に強く心に響くものといえば、「七字のうた」と題されたこんな詩です。
よわねをはくな
くよくよするな
なきごというな
うしろをむくな
ひとつをねがい
ひとつをしとげ
はなをさかせよ
よいみをむすべ
すずめはすずめ
やなぎはやなぎ
まつにまつかぜ
ばらにばらのか
真民さん五十七歳の時の詩だそうです。天地自然の営みの中に、自らが主体性を失うことなく、心に宿る願いに向かって、しっかりと着実に歩んでいこうとした真民さんの思いがよく表現された詩だと思います。(中略)
私は、人が志を持って生きるとは、結局は「自分の花を咲かせる」ということなのだと思います。それは、雀はスズメであり、柳はヤナギであるということであるし、松から吹いてくる風が松風であり、バラから薫ってくる香りがバラの香であるように、一人ひとりがそれぞれに持っているものを存分に発揮して力強く生きるということだと考えます。人間には、それぞれ持って生まれたところの特質があるのだから、それを思う存分に発揮して、自分自身の花を咲かせていくということこそが大切だということでしょう。そして、自分自身のうちから自然に湧き出してくるものであってこそ、真実の花を咲かせることができるということでもあるのでしょう。(後略)
、(雑誌「教育創造」(発行・日本教育文化研究所)の予定原稿より抜粋)
2012年7月1日
ホームページの最初のページに載せている「今月のことば」を、今月は、「今」という詩から採ったことばにしました。
この詩は、昭和51年1月1日に発行された「詩国第163号(第15巻1月)」の巻頭の詩として掲載され、その後「詩集「詩国第1集」に収録されています。
この時、真民は66歳で、この詩の原型が書かれている「詩記」(真民の思索ノート)の中で、「大切なのは、今もそのことをなしつづけているかどうかである」、「天才でない者は、今の一念の積み重ねの上に、自分としての仕事を、作りあげてゆかねばならぬ」と書いている。
今
大切なのは
かってでもなく
これからでもない
一呼吸一呼吸の
今である
2012年6月23日
東温市の坊ちゃん劇場で上演されている「幕末ガール・ドクトルおいね物語」に出演されている役者さんが全員で記念館を訪問してくださいました。砥部町と東温市の芸術文化施設の交流の一環として、中村町長の招きで来られました。
パワーあふれるミュージカルの役者さんたちが、舞台を終わって全員で駆けつけてくださり、記念の色紙もいただきまして、早速受付の所に
掲示させてもらいました。しばし、真民の詩の世界に浸って皆さんも、大変感激してじっくり見て回っておられました。皆さんの今後のご活躍に期待しております。
記念館の玄関に向かって、右横に植えられている泰山木に真っ白い花が咲いています。
坂村真民が好きだった花で、詩の中にもよく出て来る花です。
記念館の入り口付近まで甘い香りが漂っています。
花
泰山木の白花に
顔を埋めるようにして
わたしは妙なる匂いを吸う
ああ
世のなかが
どのように乱れてゆこうと
花は変わることなく咲き
変わることなき愛を持って
わたしを慰めてくれる
(「坂村真民全詩集第3巻」79ページ)
2012年6月17日
ねがい
いつかは
その日がくる
その日のために
一切が生きているのだ
飛ぶ鳥も
咲く花も
その日は
明日かも知れない
いや
その日の
夕方かも知れない
それゆえ
その日は
つゆくさのつゆのように
うつくしくかがやきたい
「詩集 念ずれば花ひらく」(サンマーク出版)62ページ
2012年6月15日
愛媛県の中村知事が、県の「広報用メールマガジン」(5月25日号)で、坂村真民記念館のことをPRしてくださっているので、ご紹介します。
メールマガジン「Ehimail(エヒメール)」(5月25日:第147号)
○タイトル
中村知事の「ときめきだより」
○本文
3月11日、「念ずれば花ひらく」の詩で有名な坂村真民さんの記念館が砥部町にオープンしました。
まちづくりは、そのまちのオリジナリティを、どのように磨いていくかが大切です。そういった意味で、郷土の偉人であり、日本を代表する詩人でもある坂村真民さんにスポットライトを当てた、この記念館は、砥部町の新たな魅力の一つになると思います。
この砥部町の取り組みと、私が松山市長時代、小説「坂の上の雲」の主人公である、正岡子規と秋山兄弟が抱いた高い志やひたむきな努力、夢、希望といったものをまちづくりに取り入れたことと相通じるものを感じます。それは、言葉の持つ力を一つの文化として捉え、情報発信を試みたところです。
正岡子規は、晩年は病床につき、外に出ることもありませんでしたが、その病床から見える小さな庭から、社会を、日本を、世界を、そして宇宙を想像し俳句を作りました。極めて限られた自然の中で、宇宙にまで視野を広げていくことが、正岡子規の真骨頂だったのです。
坂村真民さんも、夜明けに重信川のほとりで地球に祈りをささげるという日々を送られていました。限られた空間の中で、同じように発想を広げ、その思いを詩にしたためられており、子規と共通するものを感じました。そして、もう一つの共通点は、日本語を使い、誰にでも伝わる分かりやすいものを作るということにこだわりを持っていたことです。
真民さんの詩に触れることで、多くの方々が癒され、勇気をもらう場所になるのではないかと思っていますので、ぜひ一度、記念館を訪れていただき、真民さんの世界にゆっくりと浸ってみてはいかがでしょうか。
2012年5月26日
本日、入場者数が一万人を突破しました。オープン以来77日目です。月に5千人を目標にやってきましたので、少し遅れましたがほっとしています。来館者の方からは、木の温もりが感じられ、心が落ち着く。真民さんの直筆の書に触れて、心が洗われた。まっすぐな気持ちで生きてゆこうと思った。などなど。たくさんの方から温かい励ましと感想をいただいており、本当に感謝しております。2012年4月28日
しばらくご無沙汰しておりました。2012年3月30日
今日は温かい日差しが降りそそぐ、気持ちの良い日です。
平日ですが、100名を超える方が来てくださってます。
特に、先日日経新聞(全国版)の「美の美」欄で紹介されました、久万美術館から、高木館長と学芸員の神内さんのお二人が来てくださいました。このお二人には、坂村真民記念館のオープンに際して、展示関係と館の運営について貴重なアドバイスをいただいた大先輩でありまして、私としては、久万町という小さな町の美術館を全国に向けて発信され、全国から注目を集めている美術館の素晴らしい友人です。
将来の夢として、久万美術館と坂村真民記念館で共通テーマでコラボが出来ればと思っています。